この日の赤井川村の天気予報は曇りだった。
にもかかわらず、ぼくはこの日朝早くに赤井川村の冷水峠を訪れた。
目的は、雲海を見ること
本来なら雲海を見るためのだいじな気象条件のひとつは「晴れ」なのだが、ここのところ天気予報は大きく外れている。
特に週間天気予報は見るたびに変わっているような気がするほどで、多分この兆候は6月頃から続いているように思う。
6月は梅雨前線の動きを読むのが難しかったのだろうと思うが、そもそも主に過去の統計から導く天気予報は、過去にはない動きが多い時には天気を予報するのは難しいのだろう。
そう考えれば仕方のない事で、むしろ明日はどんな天気になるだろうと楽しみにしていても良いような気がするのだ。
前回この場所で雲海を見られたのは10月の下旬で、この時は自分が行けるかどうかや、様々な気象条件が偶然そろって、綺麗な雲海を見ることができた。
そう、この時の記事でも条件のひとつに「晴れ」と、ちゃんと書いていた。
でも、偶然にも雲海が見られたらいいなと思いながら、その希望を除けば何の根拠もなく午前3時半の赤井川村へ訪れてみた訳なのです。
スポンサーリンク
冷水峠は霧でした。

残念だけど冷水峠からの雲海は観られず
いつも雲海を観に来るカルデラ展望所へ到着すると、辺りは霧で包まれていました。
この日は余市方面から冷水峠を登って来たのですが、余市辺りは晴れていて星空も見えていただけに、これは残念です。
でもぼくはこの場所で見る霧の風景も嫌いじゃない。
それは負け惜しみとかでも何でもなくて、霧に包まれる状況というのも普段の暮らしではなかなかお目にかかれないので、それはそれで良いと思うのです。
鳥の声の中に居る。

鳥の声が綺麗に聞こえる。
ホケキョウとか、カッコウとか、ボーボーなんていう山鳩の鳴き声から、名前も知らない鳥の綺麗なさえずりまで、いろいろな鳥の声が聞こえてくる。
カメラのISOは4000位まで上げているのでこんなふうに写真に写っているが、実際にはほぼ暗闇だ。
暗い霧の中で聞こえる鳥たちの声は最高に綺麗なBGMだと思うし、それがすごく良い時間であるように感じる。
足元も気をつけないといけないから、ヘッドライトを首からぶら下げ小さな灯りを点けて、足元を確認しながら歩く。
鳥の声のBGMは最高に綺麗だけれど、周りの動物たちにはぼくがいるってことも知らせておかないといけない。むやみに接近する必要はないのだ。
ぼくはスマホのradikoアプリで適当にラジオを大きめの音で流した、ぺこぱのオールナイトニッポンが放送されていた。
まだ夜なんだな。
午前3時半の薄闇で動物に遭う

視線を感じる。
とくにやるべきことも無いので、セルフで撮ってみたりしていた。
セルフ撮りは相変わらず難しい。
そんなふうにしていると何かの視線を感じ、そちらの方を見ると草むらから黒くて小さい動物が出て来て目があった(ように思う)。
どうやらずっとこっちを見ているようだ、あの人はこんな夜に何をしているんだろうとか思っているのかな。
撮った写真を家に帰ってから拡大してわかったことだが、足の太さや胴体の大きさから考えるとおそらく黒猫だったのだろうと思う。
でも薄闇の中ではよく見えない。
この時はもしかすると子熊じゃないかと思ったし、そうでない根拠なんてこんな山の中なら当然無いのだ。
この時期に子熊がいるかな?なんてことも思ったが、そうであったとすれば親熊はすぐ近くにいることになる。
あまり良い状況では無いかもしれず、ぼくもずっと小さな黒い動物から目を離さないでいる、お見合いだ。
こんな時は何故だかおどろくほど冷静にいられる。
ぼくは相手を見続けながら、ゆっくりと三脚からカメラをはずし三脚を片づけて、すぐに車に戻れる様な体制にした。
そもそも何があってもすぐに車に戻れる距離に居たのもよかった。
その後、黒くて小さい動物は一度ぼくの方へ歩いて近づいて来て、はっきり見えるかどうかという距離まで来ると、踵を返して林道へ向かい山の中へ戻っていった。

赤井川村の方へ降りてみる
この日は冷水峠からの雲海が見られないことがわかったので、赤井川村の霧に包まれた風景を楽しんでみることに決めた。
峠から降りると、カルデラ地形の村の中は朝靄のような涼しいミストに包まれていて、それはとても幻想的だった。
田畑の色と電柱と電線、そこから上空へ向かってグラデーションになるような霧。
まるでグレースケールを透過でレイヤーさせたみたいだな、なんて。
なかなかお目にかかれない綺麗な景色だ。

早朝のバス停も、そしてその名前もいい。
霧はエリアによって濃かったりそうでなかったりするが、はっきりと霧がなくなることはなくて、どの辺りもすごく綺麗だ。

今日は雲海を観に来たことなんてすっかり忘れて、霧の風景に夢中になっていた。
何度もいうけれどとても綺麗だ。
そして田畑に害虫が付いてはいけないので車もぼくも畑には近づかないように気を付ける。

そうこうしているうちに、太陽はだいぶ高くまで昇って来ているようで、上空から太陽の明かりがさしているのがわかる様になって来た。
時計を見ると午前5時頃だった。

そんなふうに赤井川の霧風景を楽しんでいたとき、あるいことを思い付いた。
赤井川村のカルデラ地形の南西側にも、三日月湖のような形をした窪んだ地形がある。
銀山の街だ。
こんな霧の日に、銀山の街はどんなふうになっているだろう、そしてその街を見下ろすことができる標高158mという小高い所にある銀山駅からはどんな風に見えるのだろうかと。
すぐ近くだし、行ってみようかな。
今日はここまで。
このお話は次回に続きます。
この日、雲海を見ることができなかった冷水峠の場所については、下に地図を貼っておきます。
「カルデラ展望所」という場所になります。
もしここで雲海を見てみたいなと思われる方は、深い山の中なので大きな野生動物がそばに居るということも忘れずに覚えておいてくださいね。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事の続きは上のリンクになります、よかったらこちらも観ていただけると嬉しいです。