夏の始まりと、空の灯り

夏の始まりと夜

あれからどれくらい経ったのだろう。

朝は20度を切るくらい涼しかったのに、お昼休みの頃には30度を超えていて、真夏が来るのだと感じていました。

それは帰りのラッシュ時刻になっても変わらずで、ぼくがいつもと違う電車のホームに着いた頃にようやく30度を下回るという具合でした。

電車の中は空調のお陰でひんやりとしていて、1日の疲れがすーっと溶けていくようです。

ところで、何年か前まで「お祭り」というは当たり前のようにあって、それがずっと続いていくものだと思っていたのが必ずしもそうではない事を知って、それからどれくらい経ったのだろう。

それでも去年あたりから「お祭り」ごとがまた再開される様になり、「お祭り」が季節を感じさせてくれていたり、そこへ集まる人々の声や露店の匂いや、夜へとなっていって気分が少し陽気になったり、そういった様々なことを思い出させてくれたりしていた。

今夜もぼくはそんな大切なことを思い出すために、この電車に乗っているのです。

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夜になる駅へ。

電車の窓からは綺麗な夕日が見えていて、日没の少し前になって大きな川の近くにある駅に到着した。

ぼくはこの駅で降りて、跨線橋の上からいま来た線路を眺めて、一枚写真を撮った。

辺りの街灯はすでに点灯していて、もうすぐ夜が始まるのだろう。

改札を抜けて駅前のロータリーに出るとタクシーが数台停まっていた。

エアコンも稼働しているのだろうコンプレッサーのガコンとがゴーとかいう音が聞こえてくる。

ぼくの首筋にも汗が滲む、やはり暑い夜だ。

電車を降りた時はまだ明るいと思っていたけれど、足元は徐々に暗くなっていき、空もわずかな明るさが残る程になっていた。

夏のお祭り。

少し前まで小学校があった場所に着くと既に沢山の人が集まっていて、露店には行列があったり、太鼓のパフォーマンスが披露されたりしていて、お祭りが開催されているのがよくわかる。

お祭りというのはどうしてこんなに楽しいのだろう。

夜の時間とお祭りの様子に気分が高まる。

そんなことを感じられるのも、こうしてお祭りを開催してくださる方がいるお陰なのだ。

そして今夜のお祭りがぼくの地元のそれと違うのは、夏の始まりの夜にこの赤い灯りが沢山浮かぶことだ。

それが皆の手から離れたとき、空のほとんどの色は夜の青色になっていて、そこへ赤い灯りが沢山浮かんでいく。

空に浮かぶ灯りと夏の夜。

あっというまに青い夜は赤い灯りでどんどん埋め尽くされていき、時折誰かのスマホのフラッシュでピカピカと光が反射する。

なんて綺麗な時間だろうと思う。

そんな光景を忘れない様に、ぼくはカメラでスマホで沢山写真を撮った。

これだけ大きなお祭りを開催するにはとても大変な労力が必要だっただろうと想像がつく。

実際に会場には沢山のボランティアの方々がいて、みなさん一生懸命に様々なことを気にかけてくれていた。

そしてぼくと同じ様にこのお祭りを楽しみにしてここへ集まる沢山の人々。

普段なら家に帰る時間、暗くなっていく時間に、皆で集まり同じ時間を共有すること。忘れそうになっていた大事なことを思い出させてくれたような気がしました。

このお祭りを開催してくださった方々に、心から感謝の気持ちをお伝えしたいです。

本当にありがとうございました。

そしてぼくはこの夜、蚊に刺されていたようで、次の朝にぽっこりと腫れた額を鏡で見て、昨日見た綺麗な光景が夢なんかではなかったのだと思うのでした。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事が誰かの何かのお役に立てば嬉しいです。

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