空が茜色から徐々に暗くなっていきます。
この日は倶知安へ出かけていて、
赤井川を経由して家へ帰る途中でした。
車中から見える空は、
茜色のグラデーション階調から徐々に薄暗くなっていくのがわかるくらい透き通った空で、
夏の夜といえばじっとりとしたすっきりしない空の日が多い印象なのに、
この日は暗くなるにつれ夜の透明度がだんだんと高くなっていくのがよくわかりました。
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毛無山展望所から景色を眺めてみます

途中、小樽市街を標高470mから眺められる絶景ポイント「毛無山展望所」で車を止め、
多くの人が暗くなって夜の灯りに反転していく小樽の街を眺める中で、
ぼくもまずはその小樽の街を1枚撮りました。
でもまだそれは「夜景」と言えるほど多くの灯りがあるわけではありませんでした。
もっと綺麗な夜景を撮るのなら空がもう少し暗くなって、街の灯りが天の川みたいに明るく見えるまで様子をみるべきという時間帯なのでしょう。
見たかったのは山と空とお月さん

山を覆うもくもくとした雲と、まだ少しだけ明るさが残る空にぽつんと明るく光る三日月。
ぼくが見たかったのはこちら、眼下の小樽市街の夜景とは真逆方向、山の方。
これが見たくてそして撮りたかったんです。
さっきから車の中では茜色から暗くなる空も見えていたのですが、三日月がチラっと時々視界に入ってきて、なんて綺麗なお月様だろうと思っていたのです。
棚からぼた餅みたいに偶然見られた景色なので残念ながら三脚なんて持ち合わせていません。カメラは手持ちで脇をギュっとかるく締めてそれでいて体全体の力をぬいて、カシャカシャと何枚か撮りました。
あとはもう、カメラはカバンにしまって肉眼でずっとこの景色を観ていました。この時間帯でしか見られない綺麗なお月さんです。
でもやっぱりまたカメラを出して、カシャっと撮りました

数分で空は暗闇に吸い込まれていきます。
カメラのファインダーを見て1枚カシャ、そのあとファインダーから目を離し肉眼で空をみるとまた少し暗くなっていて。
そうやってどんどん空は暗くなり、それと反比例してお月さんはだんだんと明るくなっていきます。
夜のはじまりです

もうだいぶ暗くなってきました。
この時、展望所に居た大体の人は小樽の夜景を撮影したり眺めたりしていましたが、ぼくがずっと逆側の山の方を写真で撮ったりぼんやりと眺めていました。
そのせいなのかはわかりませんが、他の方も「おおー!月が綺麗だ!」なんて言って、お月さんをみたり、夜景をみたりで大忙しになっていました。
混乱させてごめんなさいを心の中で3回くらい言いました。ごめんなさい。
そしてまたぼくはじっと山の方を見ました。
茜色が終わり、夜が始まる空にきれいな雲と三日月なんて、そうそうめったにお目にかかるものでもないでしょうから。
今日はとても暑い日でしたけれど、その数時間後にこんな風に綺麗な夜が見られるなんて、暑さの疲れもどこかへ飛んでいきそうです。
8月の夜のことでした。