夏をやり過ごす前に読めてよかった。「子供はわかってあげない」上下巻

ぜひ読んでみてほしいのです。

つい先日「水は海に向かって流れる」を読んで、3巻で完結しているのにまるで長い映画をみた後のような満足感がありました。

絵の描写はとてもシンプルなのに、登場人物の心模様をはじめ季節や時間帯もしっかり表現されていました。

同じ夜でも風が吹いているのか凪いでいるのかなんていうのを感じとることが出来て、シンプルなのにこんなにも描くことができるなんて。

と、とても感動してしまったのです。

それで作者の田島列島さんの他作品も読んでみたくなり、前作である「子供はわかってあげない」を読んだわけです。

結果からいえば、夏がはじまるタイミングでこの作品を読んでおいてよかったなと思えましたし、ぼくはとても好きな作品です。

大人には夏休みこそありませんが、気をつけてよく感じていれば夏にしかない雰囲気は感じることはできます。

たとえば暑くて寝苦しい夜もあれば、少し涼しくてカエルの合唱が子守唄になって眠れる夜もあって、そのどちらも夏ならではの時間なのですよね。

そんなふうにいまある時間を大事にして過ごしたいなと、気がつかせてもらえたような気がします。

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読書感想文の課題図書になったらいいのに。

この作品「子供はわかってあげない」は、先日読んだ「水は海に向かって流れる」よりもっと短く上下巻の二巻で完結していますが、やはり読後の満足感はとてもあり、絵の描写もシンプルなのに心に届くものでした。

二巻で完結といっても、そこにぎゅうぎゅうに詰め込まれている訳でもなく、「水は海に向かって流れる」同様、シンプルかつ余計な描写もなく、とても読みやすいのです。

そのせいなのか、絵のちょっとした具合に気がついたり、文章の行間を想像したりというような、読み手の想像力を掻き立てるところが多いように感じられる。

ページを戻って読み直したり「この時ってどういう気持ちだったんだろう」なんて考えてみたり、本はゆっくりと読む派のぼくにとってはこの上なく読みやすい作品でした。

もしぼくが学校の先生だったら、「読書感想文は先生がおすすめする作品ならコミックでも良いですよ」なんて言って、この作品を薦めていたかもしれません。

そう思えるくらい、舞台の情景にしろ登場人物の心情にしろ、読み手が考え想像できる余白が用意されているように思える。

ごく普通に考えれば5巻とか10巻とか、作品を長くすれば発行部数も売り上げも大きくなりそうなものですが(ゲスくてすみません)、そういった選択をせず上下巻で完結しているところに、作者や担当さんや出版社のこの作品への心意気を感じます。

映画が8月20日から公開になりますが、その前にコミックで読むのもいいと思うのだ。

このコミック「子供はわかってあげない」は映画化となり、今年8月20日から全国で映画公開になるそうですので、コミックが苦手な人や映画館が好き映画で見たいって人は、映画で見るってのも良いと思います。

けれどぼくとしては、まずはコミックで読んでみてほしいなって思うのです。

この上下巻の二巻から感じられることや、そこから思いをめぐらせる楽しみは、コミックの上下巻ならではなんじゃないかと思うのです。

それに8月20日公開っていうと、そろそろ夏が終わる頃になる訳なのですよね。

去年から数えると、家にいる時間が長い夏はこれで二度目です。

ぼくはこんな夏をどうやって過ごしたらいいのかなって思いながら、去年はなんとなくだらーっとしてしまっていました。

このままだと今年もそんな感じなのかな。。

と思ってた頃に「子供はわかってあげない」を読むことができたので、なんか夏っていいもんだなー、家が中心だったとしても色々できることはありそうだし、季節をよく感じて過ごしていたいなーなんて思うこともできました。

ちなみに映画サイトには音楽「牛尾憲輔」さんと書いてあり、きっとこの作品に流れる雰囲気をとてもよく表現されるんだろうなあー!

そう思うと映画の方も観てみたくなってきた!


この作品は上下巻で完結しています。


そして、ぼくはこれくらいの長さで完結するコミックが読みやすくて好きだ!

と、この作品を読んで改めてそう思いました。

繰り返しになりますが、夏が始まるこの季節に読むにはちょうど良いので、もしまだ読んでいなくて気になった方がいたらぜひ読んでみてほしいなと思います。

本当に好きな作品です。

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